長い間、人類進化と文化進化は平行線を描いてきましたが、今、その乖離が急速に進行しており、2045年には人類の知能をAIが追い抜く技術的特異点(シンギュラリティ)に到達すると予測されています。3歳の子どもがスマホを与えられ、ゲームをする時代なのです。
テレビがお茶の間に登場したのは昭和30年代でしたが、それを境に大人と子どもの世界の区別がなくなってしまいました。アメリカ合衆国大統領は既存のマスコミ報道をフェイク(偽)ニュースであるとツィートしますが、どの情報がリアルでどの情報がバーチャルであるかもわからなくなりつつあります。昔は共同体の皆が地縁・血縁でつながっていましたが、今は人同士でなく、人がモノとつながるIoT時代なのです。このように価値観やライフスタイルが激変する中、子育てだけは昔通りというわけにはいきません。
確かに、子育ての方法に正解はありません。しかし人はそれぞれベストの方法を探して、子育てや子どもの教育にいそしんできました。本協会は保育や子どもの教育、あるいは広く発達支援に携わっていらっしゃる方々に、発達心理学の最新知見をお伝えすることを目的としておりますが、増加する一方の発達障害や親子間の愛着形成不全、子どもの社会性発達の諸問題など、解決すべき課題は山積しております。このような混沌の時代故に、協会は皆さまがお考えの保育・養育に必要な情報の提供の場でありたいと思っております。意をおくみ頂ければ幸いです。
NPO法人保育・子育てアドバイザー協会関西理事長 荘厳 舜哉
元京都光華女子大学教授 博士(心理学) 臨床発達心理士